橋梁

当社は、前身の大日本コンサルタントが創業より培った叡智を継承し、社会ニーズに応える新しい橋梁技術を生みだしてきました。また、橋梁という社会資本を長く利用できるよう熟練した技術と高度な解析手法等を駆使し、橋梁保全に積極的に取り組んでいます。

人々の生活を支える橋梁の計画・設計においては、地域・環境の特性を読み取り、架橋地点の条件に適応した橋梁を具現化する技術が必要です。当社の前身である大日本コンサルタントは創業より培った橋梁設計の叡智を継承し、技術革新を続けて多くの橋梁設計に携わってまいりました。また、既存の橋梁を保全し続けることも重要な使命と考え、維持管理や調査などの新技術開発にも積極的に取り組んでいます。

新設橋梁設計

長大橋梁

「橋・高架の道路等の技術基準」(道路橋示方書)※は支間長200m以下の橋梁の設計および施工に適用され、支間長200mを超える橋梁については道路橋示方書を準用し、橋種、構造形式、架橋地点の実状などに応じて必要かつ適切な補正行うことが必要です。

支間長が200mを超える長大橋梁の設計では、一般的な設計基準の適応範囲を超えているため、幅広い知見と高度な構造解析技術などが要求されます。当社は、これまで多くの長大橋プロジェクトに参画し、国内外で豊富な経験を有しています。

新湊大橋

臨港道路富山新港東西線(富山県射水市)に架かる橋長600m、中央径間長360m、5径間連続複合斜張橋であり、日本海側最大の斜張橋です。⾃転⾞・歩⾏者の通⾏の利便性を考慮し、⾞道の下に全天候型⾃転⾞歩⾏者道を吊り下げる構造を採用しています。

当社は、橋梁予備設計から基本設計、詳細設計に至るまでの主要な設計、架設時の解析および現地計測を担当しました。設計当時はレベル2地震動に対する耐震設計を斜張橋に適用した事例が乏しいなか、制振システム(=弾性拘束ケーブル、制振ダンパーおよび免震支承からなるシステム)を導入し耐震性を高ました。また、架橋地点は厳しい気象条件のため、高耐久性を保持できるよう種々の先進技術を導入することで高い耐震性を実現しました。

平成24年度 土木学会田中賞(作品部門・新設)受賞。

一般橋梁

橋梁は日常になくてはならない地域の重要な資産です。人々の生活のなかで長く利用される橋梁は、地域の特性・維持管理性を考慮し、将来にわたって美観を保つよう丁寧に設計しています。

富山大橋

富山大橋の歴史は、明治42年に竣工した木橋の「神通新大橋」に始まります。昭和11年に鋼ゲルバー橋の「富山大橋」に架け替えられ、富山大空襲や出水による橋脚沈下などがありましたが、日々の暮らしを支える重要な橋梁として地域のみなさんに長く親しまれている橋梁です。

当社は、老朽化に伴い架替となった3代目とも言うべき新しい「富山大橋」の基本設計、詳細設計を担当しました。本橋は複線化された富山地方鉄道の路面電車軌道、車道4車線の両側に歩道を備え、旧橋より2倍の交通容量となったことで地域の交通渋滞緩和を担っています。

特殊橋梁

地形や設計条件に合致する橋梁として、アーチ橋や斜張橋を採択する場合があります。また、架橋地に相応しい橋梁形式を検討し、デザインや機能を追求した結果、地域のランドマークとして機能する橋梁とする場合もあります。当社は、橋梁に関わる各検討委員会の運営補助、委員会にて採択されたコンセプトを具現化する基本・詳細設計を行います。

築地大橋

隅田川に架かる永代橋や、横繋ぎ材を有する勝鬨橋とは異なり、築地大橋は横繋ぎ材のない双弦アーチを採用した新しい構造です。通行時の圧迫感がなく、見晴らしの良い景色を臨むことができます。

平成30年度土木学会田中賞(作品部門)受賞。

歩道橋・ペデストリアンデッキ

現代の歩道橋や駅前のペデストリアンデッキの設計には、ユニバーサルデザインを取り入れることが求められています。年齢や障害の有無にかかわらず誰もが利用しやすい設計を行います。その上で、歩道橋やペデストリアンデッキを利用することが日々の楽しみになるような施設を目指して設計に取り組んでいます。

竜閑さくら橋

大手町と神田・日本橋の間を通る首都高速に上空を覆われ、ひっそりと流れる日本橋川。そこに架かる竜閑さくら橋の設計では、鉄道への眺め、東京駅側への視線の抜けなどに配慮し、歩行者にとっての利用しやすさを念頭に違和感なく歩行できる環境に整えました。

橋梁保全業務

既存の社会資本は大切な資産であり、将来に渡って最大限に活用していく必要があります。橋梁という社会資本を安全に長く利用できるよう、構造保全においては専門技術者が点検・調査・診断を実施し、その結果をもとに補修・補強設計を行われます。当社で実施する補修・補強設計においては、高度な解析技術を駆使し最善の耐震対策等を提案しています。また、当社が培った橋梁保全技術を活用・進展させて、効率化・省力化を目指す技術開発へも積極的に取り組んでいます。

点検・調査・診断

高度経済成長期に大量に建設された橋梁は劣化が進行し、近い将来に更新時期を迎えようとしています。そのため、多くの往来を日々支える全ての橋梁の安全を確保するため、近接目視による点検を5年に一度実施することが義務化されています。

当社は、橋梁点検や劣化原因究明のための詳細調査、診断を丁寧かつ機能的な実施に取り組んでいます。また、より詳細かつ効率的な橋梁点検を目指し、AIを活用した技術開発に取り組んでいます。

補修設計

老朽化が進行した橋梁に対し、劣化した部材の補修、耐久性の回復、第三者被害の防止を目的とする対策を実施するものが補修設計です。当社は、豊富な構造物設計のノウハウから、劣化要因の特定・排除を行うことによって再劣化を防ぐと共に、課題解決につながる新技術を積極的に取り入れた補修設計を実施しています。

犀川大橋

大正 13 年竣工(登録有形文化財)の犀川大橋の補修設計・施工にあたって、厳しい施工条件や不可視部(現状把握が不十分な箇所)の存在により、施工者独自の視点と技術を設計段階で取り入れ、現場施工の効率化を図ることができるECI方式が適用されました。

当社は、施工者(優先交渉権者)と連携をとりながら、歴史的景観の維持に配慮した上で、中長期的な耐久性の確保、重交通路線における施工時の安全確保等に実現した設計を実施しました。

重要文化財美濃橋保存修理

美濃橋は、大正5年に完成した現存する最古の近代吊橋として平成15年に重要文化財に指定されました。しかし、完成から100年経ち、腐食などの損傷がかなり進んでいたことから、早急な補修が求められました。

当社は、美しい土木遺産の姿を保ち、建設当時の橋梁技術を100年後の次世代へ継承することを基本理念に、点検、保存修理、耐震診断および現場監督支援を文化財保存計画協会のもとで担当しました。

保存修理のため、既存ケーブルを補助することを目的に腐食が厳しい右岸アンカレッジ付近にロッドを追加しています。また、主塔の補強では、炭素繊維補強後にモルタル仕上げを行い、外観変化が無いように配慮しています。

令和3年度土木学会田中賞(作品部門・改築)受賞

補強設計

旧基準で設計された橋梁に対し、目標とする性能を確保するため、補強が必要な部材を適切に選定し、部材の特性に応じた適切な補強工法を検討します。
その代表としては耐震補強設計であり、耐震診断・耐震対策に関する豊富な実績を基に、最適かつ経済的な耐震対策工法の提供に取り組んでいます。

耐震診断

特殊橋梁については、地震時の複雑な挙動を精度良く推定するための、要素モデル、材料特性、減衰特性、境界条件などの設定が重要となります。材料非線形性、幾何学的非線形性を考慮した時刻歴応答解析を用いて、部材が塑性化する場合には、必要に応じて弾塑性静的解析(Pushover 解析)、シェル要素を用いた弾塑性有限変位解析を実施します。

変位、ひずみ、断面力などの応答値から、構造安全性、地震後の使用性、復旧性の照査を行うことが耐震診断となります。耐震診断において要求性能を満足しないことが明らかとなった場合は耐震対策を行います。

耐震対策

耐震対策工法には、部材補強・制震装置の設置・変位拘束工法などがあり、対策案の補強の規模・対策効果を把握したうえで構造特性・施工性・経済性・維持管理性の観点から比較検討し、耐震対策工法を評価します。決定された耐震対策工法に対して、動的応答解析、設計計算、設計図、数量計算、施工計画など、工事に必要な詳細設計を実施します。

長寿命化計画

道路ネットワークとしての重要性・緊急性を踏まえつつ、定期点検や日常的な維持管理で得られる莫大な情報を整理し、更新を含め、将来にわたって必要なインフラの機能を守るため、利用者の安全・安心の確保、トータルコストを縮減・平準化する長寿命化計画を策定しています。

従来の対症療法的修繕や架替え(大規模修繕)から、予防保全的修繕(小規模修繕)及び計画的な架替えへの転換を図り、橋梁の長寿命化並びに修繕や架替えに係わる費用を縮減し最適化を図ります。

予防的な修繕を徹底・継続するためには、より効率的・効果的な維持管理を目指すことを目的とする事後評価が必要です。事後評価の手法は、定期的な点検結果および補修・補強履歴をデータベースに反映させることで、管理橋梁の状態(健全性)を常に把握し、定期的に平均健全度と最小健全度を部材毎に算出し、その変化によって実施効果を検証します。

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