港湾

地球温暖化に伴う巨大台風、大地震及び津波などへの自然災害対策や、国際競争力を持った施設整備、既設構造物に対する耐震補強設計などを行い、安全性に優れる施設設計を通じて、人命や国益を守り、持続的に発展できる社会づくりに取り組んでいます。

四方を海に囲まれた我が国にとって港湾施設は重要な社会基盤です。食料やエネルギーなどの資源調達を始め、サプライチェーンの連携、インバウンドなど、港湾施設は海陸の結節点として国内の経済を支えています。

重要な社会基盤である港湾施設を、地球温暖化に伴う巨大台風、大地震および津波などの自然災害から守り、国際競争力を持つ強固な施設を整備するため、当社の技術を提供することで社会の持続的な発展を支えています。また、我が国の産業や港湾の競争力強化と脱炭素社会の実現に貢献するため、港湾・臨海部の脱炭素化に向けて、カーボンニュートラルポート(CNP)の形成に貢献します。

調査・評価・長寿命化

1950年代から始まった高度経済成長とともに物流量が大幅に増え、1960年代に登場した海上コンテナ輸送など、物流の変化に合わせて港湾整備が進められてきました。このような背景から、建設から50年以上が経過した施設は進行している劣化の存在は否めません。

弊社は、既に整備された係留施設、護岸、防波堤、泊地、海岸堤防等の機能保全を目的に、施設の管理者に代わり、最新の技術なども活用し、劣化や損傷などの変状の有無を調査しています。また、施設の改築によって動植物の生存環境が奪われないか調査し、動植物の環境を守る活動も行っています。正確で安全性や効率化にも留意した調査方法を採用しています。

港湾施設の調査技術

  • 地盤沈下による施設の変位計測ではGPS測量
  • デジタルカメラを搭載したドローン(UAV)による効率的な施設の状況確認
  • エプロン下の空洞調査では非破壊調査となる電磁波レーダーやCCDカメラ用いた空洞状況の確認
  • 遠隔操作型の無人潜水機(ROV)による海中部材の調査
  • ナローマルチを用いた海底部の地形調査

環境調査

  • 港湾の環境影響評価
  • 水質・底質のモニタリングと水質の改善
    • 海水の流動化
    • 流入負荷の削減対策
    • 底泥浚渫計画)

解析技術

我が国の周辺の海象の変化を把握するため、全国港湾海洋波浪情報網(ナウファス)が国土交通省により1970年以降に運用が開始されています。

当社は、ナウファス波浪観測情報をもとに統計的な解析技術を行い、沿岸域の開発や防災に幅広く活用しています。また、このような解析結果をもとに、巨大化する台風による高潮、巨大地震に伴う津波などの自然災害による港湾施設への深刻な被害を防ぐため、海岸防御に対する波浪解析や海浜変形の解析、津波シミュレーションによる浸水予測、大規模地で生じる地盤への影響を地震応答解析(FLIP)等の数値解析を実施しています。

津波シミュレーション(最大水位分布図)

計画

港湾計画は、港湾空間(海域及び陸域)において通常10年から15年程度の将来像を示し、今後の開発、利用及び保全を行う際に指針となる基本的な計画です。国際戦略港湾、国際拠点港湾または重要港湾の港湾管理者は、「港湾の開発、利用及び保全並びに港湾に隣接する地域の保全に関する政令で定める事項に関する計画」を定めなければならないとされています。当社は、港湾計画の策定や既存計画の改良など実施しています。

設計(新設・更新・改築・補修・耐震)

港湾及び背後地における現在の社会経済活動や土地利用を踏まえるとともに将来的な視点を踏まえた設計を行っています。具体的にはハード・ソフトの施策を現地の条件に適した組み合わせのもと戦略的に進めています。また、港湾施設の防波堤、岸壁、護岸、物揚場、陸閘などの新設構造物の設計では、新技術・新工法の可能性や施工時のAIの活用、BIM/CIMを用いた設計など、現在の社会問題にも対応すべく取り組んでいます。特にBIM/CIMでの設計が有効だとされている施設を長く使い続けるための維持管理計画への応用なども積極的に行っています。

解析技術を用いた漂砂制御施設の設置や養浜技術など砂浜を保全するための設計や地球温暖化に伴う高潮被害を抑えるための防護施設の改良設計や耐震設計として既設構造物に対する耐震性能照査や、安全性に優れる耐震補強設計に取り組んでいます。

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