北の峰トンネル

北の峰トンネル

  • 路線名:一般国道38号(旭川十勝道路 富良野道路)
  • 延長:2,928m
  • 幅員:全幅員 11.0m(車道幅員 7.0m、完成2車・自動車専用道路)
図1 富良野道路 位置図
(北海道開発局 旭川開発建設部HPより引用)

旭川十勝道路は、北海道縦貫自動車道と北海道横断自動車道を接続する広域交流ネットワークを形成する路線として、旭川市~占冠村間の延長約120kmの自動車専用道路として計画されました。この中でも富良野道路(図1)は先行整備され、平成30年11月24日に開通しました。北の峰トンネルは、北の峰IC~富良野IC間に位置し、富良野スキー場の裾野に計画・建設された、延長2,928mのトンネルで、周辺の水資源環境の保全を目的に非排水構造(ウォータータイト工法)の円形NATM断面を部分的に採用したトンネルです。

トンネルルートは、地震調査委員会で発生確率cとされた御料(ごりょう)断層を貫き、圧力の高い地下水がある砂礫層を通過する形で計画されました。本トンネルの計画、調査・設計、建設は、学識経験者により構成される検討会での審議、指導のもと実施されました。

当社では、計画、調査、設計で当該トンネルと関わり、広域の地質・水文調査、3次元浸透流解析を実施し、これに基づいた、トンネルルート選定、非排水構造の区間設定、ウォータータイト構造を含むトンネル詳細設計を行いました。

御料断層沿いの溺れ谷に賦存する砂礫層には被圧水があり、部分的に非排水構造を設けることとし、3次元浸透流解析結果(定常)から、中間の740m区間をウォータータイトにすることが効果的であり、経済性も効率的と考えて設計を行いました。また3次元浸透流解析結果(非定常)から、止水注入範囲についても効果的な区間(断層・砂礫部などの200m区間)とすることとしました。施工時には詳細調査が実施され、非排水構造も約1kmまで、止水範囲もやや増加しました。

北の峰トンネルの計画路線上には、富良野スキー場のゴンドラステーション・鉄塔や住宅、北海道電力送電線鉄塔と変電所、二線川砂防ダムがあり、それぞれ2次元非線形FEM解析により所要の対策工を計画するとともに、工事中の管理基準値の提案を行いました。例えば、送電線鉄塔はウォータータイトの円形断面の直上にあり、無対策の場合は不同沈下・傾斜が許容値に収まらなかったため、対策工法として注入式長尺鋼管先受け工法(AGF工)180°配置の計画としました。

kitanomine_im03_01.png
坑内円形断面施工状況

ウォータータイト断面の形状・構造については、水圧が二次覆工コンクリートに作用しRC構造となることから、最大水圧(≒土被り)として骨組み解析とRC断面計算により種々のケースを解析検討しました。この結果、掘削と覆工コンクリートの経済バランスから、円形断面(覆工厚500mm)としました。この断面形状を選定した理由は、円形断面では解析結果から圧縮応力しか作用せず、比較的薄肉で許容する結果となったことです。一般的なカマボコ形状の場合、下隅に多大な曲げモーメントが発生し、1m以上の覆工厚になります。なお、トンネル掘削時は底盤以下に水位が下がりますが、徐々に復元するため、その水圧耐圧照査も行いました。

部分的な非排水区間の設計では、防水・止水工法の計画が重要になります。まずは掘削時の止水と地山改良のために止水注入工の設計を行いました。通常の排水区間と非排水区間にはバルクヘッドによる円切りカーテングラウトや、仮排水と止水方法の計画も必要でした。防水シートも通常とは異なり、2mm厚のシグナルレイヤー付きシートを採用し、吹付けコンクリート表面の平滑処理(FILM工法)、インバート部の一時埋め戻しや鉄筋サポート架台などの防水シート破損保護を提案するとともに、ウォータバリアによる打ち継ぎ目の縁切りや空隙充填グラウト注入などの提案も行いました。さらに完成後の漏水箇所の補修対策も、(覆工コンクリートに埋設するため)施工時に準備せねばならず、リペアシステムの提案も行いました。

kitanomine_im06_01.jpg
起点坑口
kitanomine_im07_01.png
終点側坑口

お問い合わせ先

技術やサービスについてのご質問は、下記の総合お問い合わせ窓口で承っております。お気軽にご相談ください。