GISを用いたデータ処理

地理空間情報をコンピュータで可視化、作成・編集、検索・分析等ができるGISを用いて地形の可視化、文献情報の整理・数値データ化、地形・水文解析などを行います。

GISとは、地理情報システムの英語表記Geographic Information Systemの頭文字をとったもので、地理空間情報を、コンピュータを用いて可視化、作成・編集、検索・分析することができます。
GISで扱う地理空間情報は、ラスタデータ※1とベクタデータ※2の2種類に大分され、GISソフトには、それらのデータを解析する様々な機能が用意されています。

  1. ※1ラスタデータ

    ピクセル(画素)で区分されたデータで、ピクセルごとに付与された値を用いて地物を表現する。代表的なファイル形式はGeoTiffで、地形の可視化などに用いられる。

  2. ※2ベクタデータ

    座標値を持った点のデータで、複数の点を繋いで線(ライン)を表現したり、面(ポリゴン)を表現し、位置情報に加えて、複数の属性情報を保持することができる。代表的なファイル形式としてESRI社のshapeファイルがある。

地形の可視化

数値標高モデル(DEM)、数値地形モデル(DTM)、数値表層モデル(DSM)などの数値データから、標高段彩図、陰影図、等高線図のほか、地形解析で得られる地形量に着色した図を作成するとともに、これらの図を重ね合わせることにより、地形を可視化します。
組み合わせる地図や着色を工夫することにより、着目したい地形をより見やすく表示することができます。

標高段彩図+陰影図の例
陰影図+等高線の例
基盤地図情報 数値標高モデル5mメッシュ から作成

文献情報の整理・数値データ化

文献調査では、既往文献や調査報告書から、露頭やボーリング等で得られたデータを整理することがあります。しかし、古い文献や調査報告書には、露頭やボーリング位置の緯度・経度情報が示されていません。また、そのような論文の中には、紙媒体しかないものや歪んだスキャンデータしか入手できないものも存在します。
GISでは、このような図を幾何補正することで、歪みを除去することができます。また、文献に示された図には、さまざまな座標系が用いられていますが、任意の座標系に変換することもできます。そのため、既往文献から精度よく位置情報を取得することができます。
また、ベクタデータは、属性情報を保存することができるため、例えば、露頭地点に標高や観察記事を登録しておくことができます。

文献図のイメージ(旧測地系で描かれた図)
幾何補正した文献図(JGD2011 UTM 54N)
位置合わせの基準として、国土地理院地図を使用
文献図に示された地点を抽出しDEMから標高を取得
DEMは国土地理院の基盤地図情報数値標高モデルより作成
図に示した地点の属性情報

地形・水文解析

地形量の算出

地形の特徴は、「地形種」や「地形量」で整理することができます。地形学では、定性的な観点から地形種を観察・記載が行われてきましたが、数値標高モデルの普及に伴い、標高・傾斜・面積・体積・起伏量などの地形量を正確かつ迅速に把握できるようになったことで、定量的な議論が行われるようになっています。
GISでは、地形量の算出、算出した地形量からの情報抽出・統計値の算出を行うことができます。算出した地形量は、斜面災害が起きやすい場所の抽出や段丘面区分の際に基礎データとして活用できます。

水系の抽出・谷次数区分

数値標高モデルで隣接するグリッドの標高に基づいて,例えば、D8法では隣接する8方位のうち最大勾配(低下側)をつなぐことにより水系図が作成できます。さらに,その水系図の合流地点を抽出することによって谷次数区分図、集水範囲特定して流域区分図などを作成することができます。
また、これらの図とGISの機能を組み合わせることにより、流路長の算出、流域面積の算出のほか、河床縦形図や谷の横断形図などを作成することができます。

谷次数区分図
国土地理院の基盤地図情報数値標高モデルを使用
流域区分図
国土地理院の基盤地図情報数値標高モデルを使用

ラスタ演算

GISでは、同一地点に存在する複数のラスタデータ間で数値計算を行うことができます。例えば、崩壊発生前の地形データと崩壊後の地形データが存在している場合、各グリッドの崩壊発生前の地形データ(標高値)から崩壊発生後の地形データを差し引くとこで標高変化量を算出し、対象地点に含まれる全てのセルの標高変化量を足し合わせることで、崩壊で発生した土量(体積)を算出することができます。

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