現場支援アプリ

地質調査業務のDXの一環として、作業効率の向上や負担軽減、ヒューマンエラー防止を目指し開発された水文観測総合アプリなどさまざまなアプリを開発しています。

当社では、地質調査業務のDXの一環として、さまざまなアプリを開発しています。これらのアプリは、従来の調査方法に比べ、記録・計算作業の負担軽減やヒューマンエラー防止、既存データや過去の調査結果との比較が可能になるなど、多くの利点があると共に作業効率の向上が期待されます。

水文観測総合アプリ

※特許出願中
水文調査は、主に新設される土木構造物が地下水環境に与える影響を把握するために行われる調査です。
この調査では対象構造物の周辺地域で、河川や渓流、湧水の流量、井戸の水位を観測します。
「水文観測総合アプリ」は、河川、渓流、湧水等の地表流に対して実施する流量観測を支援するアプリとして開発しました。流量観測の主な手法には[1]断面流速法、[2]容器法、[3]塩分希釈法、[4]浮子観測法があり、本アプリは、このうち[1][2][3]の観測作業の効率化を図ること、ヒューマンエラーを防止することを目的にしています。

なお、本アプリは、iOS用のアプリになります。AppleのAppStoreで「水文観測総合アプリ」を検索、もしくは以下の二次元コードを参照ください。

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※App StoreはApple inc.のサービスマークです。
 AppleはApple inc.の登録商標です。

また、水文観測総合アプリの操作説明書は以下よりダウンロードできます。

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水文観測アプリの起動画面
水文調査の様子


以下に本アプリで使用可能な3つの手法について説明します。

[1]断面流速法

断面流速法とは、流路の断面積を計測し、これを幾つかに分割して、分割断面毎の流速を観測して「断面積」×「流速」=「流量」を求める方法です。現地の計測作業では、巻き尺を両岸に張り渡し、断面積を求めるために水深を計測します。その後、分割断面で流速を観測するのですが、断面積を求めるために行う巻き尺の距離と水深を記録する作業、断面積を計算し、さらに流速との積を求める作業が煩わしく、1日何箇所も観測すると、記載や計算にミスが起こることがあります。

断面流速法の表示画面

本アプリは、河川幅に合わせ任意の分割幅を設定すると、水位測定位置の巻き尺の読み値を表示します。観測者は、表示された巻き尺の読み値の位置で水深を計測し、アプリに数値(水深)を入力していくだけで、自動で分割断面の面積が計算されます。また、流速を計測する位置も表示されますので、観測者は、表示された巻き尺の読み値の位置と水深で流量を観測し、アプリに数値(流速)を入力するだけで、自動で流量が計算され、1回の流量観測が終了します。通常、一箇所の観測地点で、この作業を3回実施し3回の平均流量が、その地点の流量値となります。この一連の作業では、アプリを使用した場合と使用しない場合で約30%の作業時間の軽減が図れます。

[2]容器法

容器法は、主に小河川、沢、湧水の流量観測に使われる手法です。流水が集まる場所を選んで、バケツなどの計量器で単位時間当たりの水量を測る方法です。この観測では、流量の計測と時間の計測を同時に行う作業があります。容器に水が貯まる時間を計測するこの作業では、いかに正確に時間を計測するかがポイントの一つになります。
本アプリは、流量と時間の計測を一人で行うことができるように、音声認識機能や小型の遠隔スイッチで時間を計る機能、計測した時間がアプリに記録される機能を組み込みました。あらかじめ容器の容積を入力しておくと、時間計測と同時に流量が自動で計算されます。通常、一箇所の観測地点で、この作業を3回実施し3回の平均流量が、その地点の流量値となります。この一連の作業では、アプリを使用した場合は1名で作業でき、使用しない場合の2名と比較して観測要員の削減が図れます。

[3]塩分希釈法

塩分希釈法とは、観測地点の上流から高濃度の食塩水を流下し、観測ポイントに設置した電気伝導度計(電気伝導度と塩分濃度は正比例の関係)で電気伝導度の経時変化を計測し、流量を算定する方法です(河川砂防基準に準拠)。流量の算定には、食塩水投入後の電気伝導度の平均値を計算する作業があります。計測と計算作業を繰り返し、1日何箇所も観測すると、記載や計算にミスが起こることがあります。
本アプリは、データ送信機能を有した電気伝導度計を使用することで、アプリ内に電気伝導度の値を取り込み、記録と計算作業を自動化できます。通常、一箇所の観測地点でこの作業を3回実施し、3回の平均流量がその地点の流量値となります。この一連の作業では、アプリを使用した場合と使用しない場合で約30%の作業時間の軽減が図れます。

塩分希気釈法の表示画面①
塩分希気釈法の表示画面②

ダイヤ電子野帳(DDY)

※特許出願中
地質踏査のDX化を図るため、当社はジーエスアイ株式会社と共同でダイヤ電子野帳(DDY) を開発しました。

このアプリは、数値地図を取り込み、走向傾斜を入力することで地質図が描画される地質踏査のデジタイゼーションツールです。また、連動するアプリで、走向傾斜の計測、露頭の写真撮影、簡易スケッチが可能で、ルートマップを自動作成することもできます。日本における地質踏査の技術は、明治時代にドイツの地質学者ハインリッヒ・エムンド・ナウマン(ナウマン象の発見者)によって教授されて以来、クリノコンパスと地形図、ペンを使った地質図作成技法は、ほとんど進化すること無く、令和の時代まで受け継がれてきました。
電子野帳の登場は、従来からの地質踏査方法を画期的に革新する地質踏査のDX革命です。

なお、本アプリは、テストのため、iPadアプリのベータ版を公開しています。
詳細は以下のURLもしくは二次元コードをご参照ください。

※iPadはApple inc.の登録商標です。

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複数種類の走向傾斜記号表示
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走向傾斜を選択して地質図作成
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断面線指定と地層面走向線表示
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断面図表示
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シームレス地質図との重ね合わせ


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