地盤防災

構造物の長寿命化や防災・減災に資するため、様々な調査・点検・解析・対策等を行い、安全・安心な社会資本の持続的な維持に貢献する分野が『地盤防災』です。

近年、豪雨や地震などの影響を受け、自然災害は激甚化・頻発化しています。それに加え、道路や港湾、空港などの社会インフラは老朽化が進んでいます。これらの社会インフラは地盤上に構築されておりますので、防災・減災を目指すためには、地盤を抜きには語れません。
このような背景の中、防災・減災に資するため、様々な調査・点検・解析・対策等を行い、安全・安心な社会インフラの持続的な維持に貢献する分野が『地盤防災』です。
当社は誕生以来、地盤調査・解析、構造物設計をコアとして成長してきました。調査・設計業務は社会資本整備の最も川上に位置しており、“社会資本整備の基礎”ともいえる分野です。
これら長期にわたって培ってきた経験や技術を活かし、地質リスクを回避・低減すべき調査・設計を行うことにより、『人と自然が微笑む社会へ』の実現を目指し、防災・減災に関連する様々なサービスを提供しています。

日常点検~災害発生時の緊急対応~詳細調査~防災設計までのノンストップ化

当社では、道路構造物や自然斜面における道路防災点検・道路土工構造物点検等を代表とする維持管理により災害の発生を未然に予測すると共に、万一の災害発生時には災害調査を実施し、二次崩壊等の第三者被害を防止するための提案を行います。その後は、地質詳細調査や物理探査、動態観測、地質解析の実施、最適な対策工の検討・詳細設計まで、シームレスな対応が可能な体制を構築しております。

インフラ点検・日常管理

構造物点検状況

詳細な地形判読から災害発生要因を判断し、災害に至る微小な変化を日常点検により評価します。その上で、対策が必要と判断された場合は応急対策や恒久対策の提案を行います。

災害発生時の対応

災害発生状況

災害が発生した場合、当社の地質技術者および設計技術者による調査団を結成し、初動調査を実施します。現地調査では、崩壊の拡大や第三者被害の可能性を把握し、今後の調査・解析を検討すると共に、応急対策の検討を行います。

応急対策

応急対策実施状況

道路が被災した場合、1日でも早い交通開放が望まれます。そのため、恒久対策はもちろん、応急対策の検討が必要不可欠となります。

詳細調査・解析

調査・解析事例

応急対策後は、ボーリング調査や動態観測を行い、被災の素因や誘因を明らかにするとともに、恒久対策を行うための解析を行います。解析においては、地質・地盤リスクを考慮した上で、リスクを回避・低減するために必要な検討を行います。

恒久対策

恒久対策実施状況

恒久対策検討に際しては、安全性や経済性はもちろんですが、施工性や維持管理性、環境への影響等を総合的に判断し、対策工の提案及び詳細設計を行います。

地質リスク・地盤リスク検討

『地質リスク』または『地盤リスク』とは、「土木事業における地質・地盤リスクマネジメントのガイドライン(R2.3、国土交通省)」において、「当該事業の目的に対する地質・地盤に関わる不確実性の影響。計画や想定との乖離によって生じる影響。」と定義されています。つまり、我が国の地形や地質、地盤は複雑で不均質なものであるため、地質調査や地盤調査には限界があり、常に不確実性を胚胎しています。そのため、土木事業においてはこれらの地質・地盤リスクを正しく認識し、計画・設計・施工・維持管理等の段階において適切に対応することが求められています。
当社では計画~地盤調査~構造物設計~点検(維持管理)までの一貫した経験を活かし、計画段階における地質リスクの抽出からリスク低減策をご提案します(地盤リスクアセスメント)。

地質・地盤リスクの抽出、特定の事例

資料収集整理(地質・地盤リスクの抽出)

地形地質に関する文献や既往調査資料、空中写真、災害履歴、各種ハザードマップ等の資料を収集・整理すると共に、地形判読や空中写真判読から災害地形判読図を作成し、当該事業に影響を及ぼすと考えられる地質・地盤リスクを抽出します。

地表地質踏査(地質・地盤リスクの特定)

抽出した地質・地盤リスクを評価・特定するため、地表地質踏査を実施します。地表地質踏査の際には、地形や地質はもちろん、災害発生要因となり得る地すべりや土石流、断層、破砕帯、軟弱地盤等の規模と性状、液状化の可能性、自然由来の土壌汚染など、土木事業のリスクに着目して実施します。

地質・地盤リスク分析・評価

地質・地盤リスク分析・評価は、特定できた地質・地盤リスクそれぞれに対し、発生のしやすさや影響の大きさを評価した上で、リスクランク(重要度)を決定します。さらに、その重要度に応じて、具体的な対応方針(回避、低減、保有)を検討し、検討方針に基づきリスク措置計画を策定します。

リスクランクの設定例

地すべり調査・動態観測・地すべり解析・対策工設計

地すべりは、斜面崩壊と比べてゆっくりと斜面下方に土塊が移動する現象のことをいいます。一般的に移動土塊量が大きいため、甚大な被害を及ぼします。このため、地すべり規模を把握して対策することが重要となります。

地すべり調査

地すべりブロックの設定

地すべり調査は、地形判読、空中写真判読等の結果を踏まえ現地踏査を行い、地すべりブロックを設定します。
設定した地すべりブロックに対して、ボーリング調査、室内試験等を実施します。

動態観測

地すべりにおける動態観測の設定例

地すべりのすべり面深度、活動状況、地下水位を把握するためボーリング孔や地表面に観測機器を設置して、動態観測を行います。
ボーリング孔には孔内傾斜計、パイプ歪計、地下水位観測計等を、地表面には移動杭、ぬき板、地盤伸縮計、傾斜計等を設置します。
設置した観測機器について、定期的に観測値を確認し、活動状況等を判定します。活動状況が活発な場合等は、リアルタイム観測を行う地すべり監視体制を構築します。

地すべり解析

地すべり三次モデルでの解析例

地すべり解析は、道路、トンネル、橋梁等の構造物を考慮した二次元モデルまたは三次元モデルを作成し、安定解析を行います。

対策工設計

地すべり対策工は、地すべり土塊内の地下水位排除等を行う抑制工とグラウンドアンカー工等による抑止工があります。
対策工は、抑制工と抑止工について最適な対策工の組み合わせを検討し、設計を行います。

抑制工:集水井での対策例
抑止工:グラウンドアンカーでの対策例

お問い合わせ先

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