CCS

CCSは、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの一つである二酸化炭素を削減する目的で、排ガス中に含まれる二酸化炭素を分離・回収し、地中深くの地層に貯留する環境技術です。

CCS(二酸化炭素地中貯留:Carbon dioxide Capture and Storage)は、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの一つである二酸化炭素を削減する目的で、火力発電所や工場からの排ガス中に含まれる二酸化炭素を分離・回収し、地中深くの地層に貯留する環境技術です。
排出源となる火力発電所や工場では、現在、化石燃料を多く使用しており、これが二酸化炭素を多く排出している原因であるため、将来的には再生可能エネルギーや再生可能エネルギー由来の燃料などへ置き換えることが検討されています。しかし、二酸化炭素の排出削減については、化石燃料の使用を直ちに止めるという選択は現時点で難しく、また、植林や再生可能エネルギーの拡大にはある程度の時間が必要であることと、これらのさまざまな削減対策を行っても、二酸化炭素の排出は残り続けていくことが問題点として挙げられます。
CCSは、二酸化炭素を比較的早期に削減可能な「橋渡し技術」、そして、二酸化炭素排出削減の「切り札」とされ、カーボンニュートラルへ貢献できる技術として注目を集めています。
当社は、石油・石炭に代表される地下資源の開発から、活断層調査での地下構造探査、土木構造物あるいは建築構造物を対象とした地下の調査技術を基に、新たな環境技術であるCCSの実用化に向け、貯留サイトの評価技術、圧入した二酸化炭素および周辺環境保全のためのモニタリング技術等の開発に取り組んでおり、地球環境の面から社会貢献につながるよう努めてまいります。

貯留サイトの地下の可視化

CCSを行うためには、二酸化炭素を貯留する地点を決め、貯留地点周辺の地下の詳細を調べることによりCCSを安全に実施可能か判断します。実施可能と判断した場合は、具体的な事業計画を立案し、経済的に成立するかの総合評価が必要となります。例えば、貯留規模をどの程度とするか、操業時の地下・周辺地域における監視なども含めた事業計画を練ることが必要となります。

3D反射キューブ

二酸化炭素の地中貯留は、一般的に地下約1,000~3,000mを対象とし、そこに二酸化炭素を貯留する地層(貯留層)とその上位に貯留した二酸化炭素を封じ込める地層(遮蔽層)の存在がCCSの条件の一つとなります。それらの地層が存在する場所で、各地層の層厚や拡がり(連続性)、地層の性状(圧入のしやすさ、遮蔽能力等)や、貯留した二酸化炭素が漏洩しないよう地層の不均質や脆弱部(断層など)について把握しておくことが必要となります。その際に使用するのが、地質構造調査で用いられる反射法地震探査を中心とした地下イメージング技術になります。また、ボーリング調査により得られる地下の直接的な情報などを基に、地下構造情報と併せて貯留層・遮蔽層の物性等の性状や分布についてより確度の高い評価を行います。さらに、CCSは長期間にわたって実施する事業であることから、圧入した二酸化炭素の長期挙動予測も重要であり、当社では土木分野で培ってきた地下水解析技術を基に、二酸化炭素挙動シミュレーション技術の解析ノウハウ取得にも取り組んでいます。
当社では、これまで培ってきた物理探査技術、地質解析技術を基に、貯留層・遮蔽層のモデル構築や貯留可能量評価などを通じて貯留サイトの地下を可視化し、事業地決定やその後の操業計画に資する情報の提供が可能です。

二酸化炭素挙動予測解析の解析事例
(圧入した二酸化炭素が10年後20年後どの様に拡がり貯留されているかを解析的に予測し可視化)

貯留サイトのモニタリング

沖合海底での二酸化炭素貯留とモニタリングイメージ

二酸化炭素を地中に圧入して貯留する際、圧入設備や圧入坑井では、適切な管理や異常検知を目的として、二酸化炭素の圧入量、圧力、温度の計測を行います。圧入した二酸化炭素が地中のどの範囲に貯留されているか、その貯留範囲について当初想定した範囲に留まっているか確認するなどの目的で、弾性波を利用した地下の状態把握を中心とした監視が行われます。また、海底下への地中貯留の場合では、圧入した二酸化炭素が海洋へ漏出した場合の事を考え、海洋環境の監視も行われます。これら一連のモニタリングでは、連続的あるいは定期的に取得したモニタリングデータを基に、地下モデルなど地下の情報を更新しながら予測技術と併せて安全性や環境保全の点から監視を行っていくことが求められます。
また、CCSでは二酸化炭素を地中に人為的に圧入するため、日本のように地震の多い地域ではCCSと地震との関連性を懸念する声もあります。そのような場合に備え、「Social License to Operate」の観点から、サイト周辺の地震活動を監視することで圧入行為と地震活動の関連性を検討し、モニタリングデータや検討結果などの情報を公開し、CCS事業の理解の一助としていくことも考えられます。
このようにCCSにおける地下や海洋環境のモニタリングは、圧入事業の適切な運営に活かされる重要な情報となることが期待されています。今後、日本においても様々な事業者がCCSを計画していく機運が高まっている中、当社では地質調査技術に加え、地下モニタリング技術の適用に向けた開発に取り組んでいます。

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