熊本活断層調査

熊本活断層調査

[熊本地震の発生]
2016年(平成18年)4月14日に熊本県熊本地方でM6.5、4月17日にはM7.3の地震が発生し、甚大な被害が発生しました。この地震活動では、これまでに知られていた活断層である布田川断層と日奈久断層の北部に沿って、長さ34kmに渡って地表変状(地表地震断層)が出現しました。

活断層調査

地震直後の緊急調査の様子
※道路とブロック塀が右横ずれしています

当社は地震直後に現地に入り、被害状況の緊急調査を実施しました。その後、地震研究推進本部による「平成28年熊本地震を踏まえた総合的な活断層調査」が計画され、当社は国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下、産総研)からの委託を受け2016年度から3年間、布田川断層帯・日奈久断層帯の活断層調査を実施しました。

日奈久断層帯の調査

布田川断層帯・日奈久断層帯の分布と調査地点
(国土地理院の地理院地図に産総研の活断層データベースの活断層トレースを重ね合わせました。
Br:ボーリング,Tr:トレンチ)

熊本地震の発生によって、その南方延長にあたる日奈久断層帯での地震発生が懸念されました。そこで、日奈久断層帯を中心に活断層の過去の活動履歴を明らかにするための調査が計画されました。日奈久断層帯の分布域を対象に地形地質調査を実施し、甲佐町白旗山出(2016年)、宇城市小川町南部田(2016年)、八代市川田町西(2017年、2018年)などでボーリングおよびトレンチ調査を実施しました。幾つかのトレンチ壁面に出現した活断層は、はぎ取り標本として採取され博物館等で展示されています。

日奈久断層帯の南部田トレンチ掘削中の様子
(2016年)
※黒い地層が断層でずらされています
日奈久断層帯の川田町西トレンチのはぎ取り
試料採取の様子(2018年)

布田川断層帯の調査

布田川断層帯の阿蘇沢津野トレンチ(2017年)
※阿蘇カルデラ内の地溝状の地表変状を掘削しました

布田川断層帯の分布範囲は阿蘇カルデラの手前までと考えられていましたが、今回の地震では阿蘇カルデラの内部まで地表地震断層が出現しました。そこで、その北端付近にあたる南阿蘇村河陽沢津野などでボーリング調査およびトレンチ調査を実施しました。また、布田川断層帯宇都区間の活動性を明らかにするため、益城町島田でトレンチ調査を実施しました。

調査結果の公表

各トレンチでは、産総研の研究者に協力し、一般市民を対象としたトレンチ見学会を開催しました。地元の小・中学校を対象とした見学会の実施や、マスコミの取材対応なども行い、3年間で延べ2,000人を越える人々がトレンチを見学しました。また,幾つかのトレンチ壁面に出現した活断層は、はぎ取り標本として採取し、博物館等で展示されています。調査結果は報告書として取りまとめられ、地震研究推進本部から公表されています。(URL:https://www.jishin.go.jp/database/project_report/kumamoto_sogochousa/)。これらの調査結果は、地震発生確率や地震動評価などの地域地震防災の基礎データとして役立っています。

日奈久断層帯の白旗山出トレンチの一般公開の様子(2016年)
当社吉野原オフィスに展示されている、南部田トレンチの壁面から採取したはぎ取り標本

お問い合わせ先

技術やサービスについてのご質問は、下記の総合お問い合わせ窓口で承っております。お気軽にご相談ください。