水文調査
水文調査(高速道路事業)
水文調査は、新設される土木構造物が「地下水環境に与える影響」や、地下水が「土木構造物に与える影響」を把握するために行われる調査です。調査結果は、事業補償や土木構造物設計の基礎資料として用いられます。
当社では、地下水解析やモニタリング、地下水開発、湧水・渇水対策、事業補償の検討、減渇水影響評価などの実績を有しており、そのノウハウを生かし、道路事業、鉄道事業に関連した水文調査を毎年数多く実施しています。
ここで紹介する事例は、九州地方の高速道路事業に関して実施した水文調査についてです。
対象地域には、東西方向に連続する石灰岩帯が分布しており、その末端部からは毎分十数トンの湧水があり、水道水源として利用されていました。調査対象となる道路トンネルはこの石灰岩帯を貫通する計画であり、本水文調査の目的は、この水源および周辺地下水環境への影響を把握することでした。
調査は、トンネル施工に着手する3年前から開始し、供用開始から2年後まで実施されました。この期間内にトンネル周辺の河川で減渇水が発生しました。事業計画段階で懸念された石灰岩帯の水源には、顕著な影響は発生しませんでしたが、トンネル内では、最大毎分7トンの突発湧水が発生しました。
当社は、これまで実施した河川流量や地下水位、水質等の観測結果を用いて、トンネル工事との因果関係をタンクモデルシミュレーションや水田利水モデル解析の実施で解明し、影響量の算定、減渇水対策工の検討及び設計を実施しました。
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