竹芝デッキ

土木学会デザイン賞2023 奨励賞

都市の隙間、針の孔に糸を通すような歩行者デッキ
だれでも何気なく歩ける歩道を目指して

竹芝デッキ(港歩行者専用道第8号線)は、東京都の都市再生ステップアップ・プロジェクトの1つである「(仮称)竹芝地区開発計画」の中で、JR浜松町駅から竹芝地区へ向かう歩行者の主要動線として設計されたデッキ(橋梁)です。東京都港区という土地柄、高層ビル群だけでなく、都内有数の庭園である旧芝離宮恩賜庭園に隣接するなど、地域の景観形成上も大きな影響が予想されるもので、構造性、施工性、維持管理性だけでなく、そのデザイン、景観性について総合的に検討することが求められました。橋梁形式、上下部剛結構造形状、シェルター形状、付属物に至るまで詳細に検討し、設計を実施しました。施工時にも設計者が設計監理として係ることで、細部に至るまで設計者の意図を実現させることができました。

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デザインコンセプト

複雑な都市景観の中で一筋の白いデッキラインを水平方向に通すことで、よくある煩雑な都市景観に緊張感を与え、ここにしかない景観を創出しています。
各部の詳細なデザインの主張が強くなり過ぎないように、控えめではありますが、程よい存在感となるようにデザインのバランスを心掛けました。

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縦断勾配

縦断勾配について、全体は車椅子での利用者が自力で走行できる程度の緩やかな勾配、2%以下とし所々にフラットな平場を設け、だれでもいつでも快適に感じることができる歩行空間を目指しました。

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橋桁、脚形状

歩道内に橋脚を納めることから、歩道内に橋脚を納めることから、地上の歩行者への圧迫感を軽減するため、橋脚の面を分割し、頂部は断面を絞り、エンタシスの効果を利用して安定感と緊張感のバランスを図りました。鋼製箱桁は、橋脚との剛結部の取り合いと桁裏の面を分割するため、箱桁下面は2枚の板で構成しています。鋼製箱桁は、橋脚との剛結部の取り合いと桁裏の面を分割するため、箱桁下面は2枚の板で構成し、五角形断面の箱桁になっています。側縦桁を斜めにしたことで、日射を受けて、側面から見たときにフェイシアラインが強調されます。施工性と美観性のバランスから、主構造の連結は溶接接合とボルト接合を組み合わせることとしました。ただし,首都高速道路上空は工事期間を極力短くするため、矩形箱桁でボルト接合しています。P6付近における五角形断面と矩形断面の遷移は、板組の面でも無理のないよう模型により検討し、擦り付け長などを決定しました。

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付属物、シェルター

高欄、シェルターは、全体との形状の統一性と積雪が地上に落ちないよう、壁面を内側に倒し、メインの歩行動線はデッキ中央部となるようにしました。シェルター屋根中央に設備配管スペースをまとめ、その上を点検清掃用足場として利用することが可能です。単調になり過ぎないように、シェルターのフレーム、舗装パターンでリズムをつけています。

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照明計画

旧芝離宮恩賜庭園への影響に配慮して、デッキ自体をライトアップさせるのではなく、デッキ内部の照明効果が漏れて、外から見てぼんやりと浮かび上がるような照明計画です。

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施工計画

首都高の通行止めを1夜間にするため、550t吊オールテレーンクレーンによる中央一括架設とベントによる端部張り出し架設を実施しました。

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エレベーター・エスカレーター計画

昇降施設はその裏側に史跡である旧芝離宮恩賜庭園の水路があったことと旧建物の解体費用を削減するために旧建物の基礎を利用する、もしくは部分的に解体して、設計、施工しています。

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架橋位置東京都港区
事業者株式会社アルベログランデ
施行者鹿島建設株式会社
構造形式鋼6径間連続鋼床版箱桁ラーメン橋
橋長239.7m
支間長37.7m+22.1m+39.2m+39.6m+40.1m+57.3m
幅員総幅員7.0m(有効幅員6.0m)
架設工法クレーンベント架設

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